実演生物学:Ch2. -6A,:パラフィン切片HE染色標本(ニジマス稚魚)の作製法
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 1. 培養細胞と組織切片染色標本について
 2. ニジマス組織の概説
 3. 関連図書一覧
 4. 模式図とボタン番号の関係

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1. 培養細胞と組織切片染色標本について

 ウェブサイト建築現場「実演生物学」の中心的な素材は「生きている培養細胞」であり、フラスコ内の限られた人為環境下にある細胞である。それでも生体の組織細胞の性質を大なり小なり反映して生きている。実験観察を通じて培養細胞を見るとき、その背景にある組織細胞の事をどうしても意識してしまう。近頃では発生生物学や再生医科学といった立場から、フラスコ内での「細胞の組織化」という研究も急速に進んでいる。
 細胞と組織の関係を学校生物の範囲で更に考えていくためには、やはり「組織学」という範疇に目を向ける事が必要と思う。そこで、本章では、ニジマス稚魚を材料とする組織切片染色標本の作製法、並びに本法の副産物として作成が可能な、ニジマス稚魚の「蝋人形」の作製について解説する。
 時折担当する培養細胞の講習会でも、付録として小型魚類の組織染色標本を紹介するが、テーマ主題(細胞の事)にもかかわらず、アンケートによれば培養細胞の事以上に組織染色プレパラートの人気が高い。
 学校の先生は、1枚のスライドガラスに、体全体の切断面が張り付き色付けされた組織標本に感激する。熱心に顕微鏡観察を続ける。
弁解すれば、一般の組織学では「これは横紋筋、次のスライドが肝臓、隣のプレパラートが腸管組織の染色標本」と個々に観察、学習する。一枚のガラスの上に、眼が見え心臓があり、五臓六腑が配列、観察できる魚の標本などは、本格的な高等教育には使わない。生物学の王道(?)はやはりヒト、マウスやカエルのような大物である!?が、大物ゆえの悲しさで、小さなスライドガラスの上に体全体の薄切り切片を載せるわけにもいかない。
 というわけで、「お頭付きの活け作り」のような一尾丸ごとのプレパラートは、人にとって生物の実体が実感できる「嬉しい」存在。優れた教材素材であると認めざるを得ない。生徒に見せたら喜ぶだろうと考える先生たちの気持ちも理解できる。先の培養細胞も同様の観点(見方、考え方、進め方)から、その利点を上げることができるのだが、人の感じる、生き物の実体としての「インパクト、嬉しさ」は「お頭付き」には及ばないようである。

<2. ニジマス組織の概説>

 魚類も脊椎動物なので、その基本的な体内器官・組織の有り様は、鰓やウキ袋などを別とすれば、ほ乳動物と同等と考えてよい。よって、一般組織学の教科書の図譜を参照することが可能でする。
 解剖図(下記図など)を参照しながら、虫眼鏡や接眼レンズ(ルーペとして利用)で、染色切片内に見える構造単位が何に該当するか考える。平行して、低倍率で検鏡し、それらの位置関係を把握する。その上で、顕微鏡にセットして各器官組織構造を組織学教科書などを参照しながら観察検討する。組織は切り方で各種の断面を呈するので、立体的イメージを持ちながら考える。ちなみに、検鏡している組織像は唯一無二であることを意識し、また生物倫理も心の片隅に置いてもらいたい。
 以下、ニジマス稚魚について幾つか特徴的な組織構造について説明する。

<3. 関連図書一覧>

□1) 病理組織標本の作り方 (1986)
  渡辺陽之輔・坂口弘・細田泰弘監修:慶應義塾大学 医学部編・
  医学書院 ¥4000 (ISBN 4-260-10343-1)
□2) 新 染色法のすべて(1999)
  月刊 MEDICAL TECHNOLOGY 別冊:, 医歯薬出版(株) \4800
□3) 病理組織学標本作成技術 (上、下巻) (1981)
   病理技術マニュアル3 日本病理学会 編:医歯薬出版 ¥7500
□4) 光学顕微鏡で見る比較動物学(1994)
      越田豊・常木和日子  培風館 \2500 (ISBN4-563-07730-5)
□5) 魚類組織図説 正常組織と病理組織 (1989)
   日比谷京 編:講談社 ¥5000 (ISBN 4-06-139394-4)
□6) 動物の顕微鏡観察(1997)
     井上勤 , 新版 顕微鏡観察シリーズ3:, 地人書館 \3000
   (ISBN4-8052-0600-4)
□7) 魚類組織学図説(1969)
      川本 信之・福田 芳生, 石崎書店 \ (ISBN)
□8) 目でみる組織学実習図譜
  (An adavanced atlas of histology)(1979)
      W.H.Freeman(駒林隆夫 訳),  廣川書店 \ (ISBN)
□9) 標準組織学(総論、各論)(1988)
     藤田 尚夫・藤田 恒夫 :, 医学書院 \8000 (ISBN4-260-10047-5)
□10) カラースケッチ 生理学(1990)
     永田豊、坪井實 監訳, 廣川書店 \3900 (ISBN4-567-51110-7)
□11) 魚類解剖図鑑(1992)
     落合明, 緑書房 \9800 (ISBN4-89531-063)
□12) MICROSCOOPIC ANATOMY OF SALOMNIDS:AN ATLS(1983)
   YASUTAKE W. T.& J.H. WALES , RESOURCE PUBLICATION150:
     U.S.Dept. of the Interior, Fish and Wildlife Service \ (ISBN)

 

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<パラフィン切片HE染色標本の作製法>
 A. 組織標本作製技法の概要と安全対策
 B. 一覧表:組織標本作製工程
 C. 主な試薬と備品、その調製法
 D. 実技手順1(固定):前処理・固定/脱灰・整形(1st Stage)
 E. 実技手順2(包埋):脱水・パラフィン浸透・包埋(2nd Stage)
 F. 実技手順3(薄切):ミクロトーム操作、薄切・伸展/接着(3rd )
 G. 実技手順4(染色):染色、脱水、封入(4th Stage)
 H. 代用キシレン法
 I. 主な関連解説と参考書一覧


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I. 主な関連解説と参考書一覧>
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