実演生物学:Ch2. -6A,:パラフィン切片HE染色標本(ニジマス稚魚)の作製法
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主な物品:模式図を参照(図X)
【1st Stage固定/脱灰】工程の物品
【2nd Stage脱水/パラフィン浸透】工程の物品
【3rd Stageミクロトームによる薄切・伸展/選取/接着】の物品
【4th Stage染色/封入】工程の物品
主な試薬溶液の調製法
:麻酔剤、固定液、染色液(ヘマトキシリン/エオシン)、
エタノール、
キシレン、パラフィン、100%EtOH、封入剤
模式図とボタン番号の関係
図表一覧と対応パネルボタン
ニジマス稚魚/小型魚(メダカ)、麻酔剤(フェノキシエタノール)、ブアン液(飽和ピクリン酸水溶液、ホルマリン、酢酸の混液)、使い捨て手袋、メスシリンダー、ミクロトームの使用済み替え刃、発泡スチロール板、ビニール手袋、ピンセット、70%エタノール
自動脱水パラフィン浸透装置、エタノール系列溶液、キシレン、パラフィン(HISTPREP568:和光415-25791、mp56-58℃)、70℃恒温槽、吸引装置、ガラス瓶、吸水剤(Molecular Sieves 3A 1/8:和光:133-08645)、包埋/ブロック作成:使い捨てのお醤油皿、薬包紙、鉛筆、レフランプ、ガスバーナ、ピンセット、大型カッターの刃(ブロックトリミング用)
<脱水/パラフィン浸透工程の試薬>
70%EtOH(又は流水)、70%EtOH、80%EtOH、90%EtOH、95%EtOH、99.5%EtOH、Abs.EtOH 1、Abs.EtOH 2、キシレン 1、キシレン 2 、パラフィン 1、パラフィン 2、パラフィン 3、
・・・・・・・・・
<パラフィン溶融槽/電気パラフィンポットがない場合>
電気パラフィンポットがない場合、また「自動脱水パラフィン浸透装置」がない場合は、蓋付きのガラス瓶(マヨネーズ瓶など)や、70℃設定が可能な恒温槽と「マグカップ」などを用いる。但し、安全性が確保できる温度調製が可能な恒温庫(オーブン)やホットプレートなどの利用も検討する。パラフィン浸透は3槽を用いるが各2時間で合計6時間と考え、昼間、状態を確認しながら行なえる状態で用いる。マニュアル操作の時は夜間のパラフィン溶融を行なわないようにする。
【3rd Stageミクロトームによる薄切・伸展/選取/接着】の物品
試料包埋のパラフィンブロック、台木、ガスバーナ、ピンセット、大型カッターの刃(ブロックトリミング用)、ミクロトーム、替え刃、筆、台紙、スライドガラス、ハシゴ、エーゼ、乾燥機、ホットプレート、平金属バット、温度計、アルコールランプ又はガスバーナ、柄付き針、スライドガラス立て
【4th Stage染色/封入】工程の物品
系列溶液(キシレン、エタノール、脱水剤、染色液)、染色ツボ、染色カゴ、紙タオル、ピンセット、水洗バット、水道水、封入剤(ビオライト/Bioleit:応研商事940728、製造元 高研)、カバーガラス(MATUNAMI 22 x 40mm, No.1 0.12- 0.17mm)、オモシ、キシレン、竹串(針金)、封入プレート(フスマ)
<染色/封入>
Xylene 1st、Xylene 2nd、Abs.EtOH(キシレン除去)、95% EtOH、80% EtOH、70% EtOH、50% EtOH、Water(DW)、Mayer's Hematoxylin、水洗(流水、水道水)、Eosin (x4希釈液の場合)、Water(DW/水道水)70% EtOH、80% EtOH、90% EtOH、95% EtOH、99.5% EtOH(くみ出し*)、Abs. EtOH 1st、Abs. EtOH 2nd、Xylene 1st (中間剤))、Xylene 2nd(透徹/保存)、移動用キシレン、封入剤(ビオライトやクリアーマウント)
<麻酔剤>
フェノキシエタノール、またはベンゾキン(p-アミノ安息香酸エチルエステル:30% in EtOH)
濃度:数滴/2L、麻酔死させるときには濃度を高める、10分くらい放置。
<固定液>
本編では「ブアン固定液」を用いる技法を紹介しているが、本液が使えない場合には、下記の「リン酸緩衝ホルマリン」などを用いる。その場合、標本を数日固定後、5%EDTA-2Na(NaOH粒を加えてpHを中性にする)に試料標本を入れ、2日おきにEDTA液を交換し「脱灰」する(4-7日程度)ことも可能である。脱灰状態の確認には、ミクロトームの替え刃で、背骨を切ってみて、スムーズに引き切りできればOK。
「ブアン固定液」の調製法
ブアン固定液:飽和ピクリン酸/ホルマリン/氷酢酸 (酢酸でOK)を、15対5対1の割合で要時調製する。1週間くらい保存しても使える。
飽和ピクリン酸:DWにピクリン酸を加え、沈殿ができるまで溶解(DW100mlに2gで飽和)し室温保存。ブアン液調製の時、その上清を濾過して使用。
「中性ホルマリン」の調製法
ホルマリン原液に炭酸カルシウムを加え飽和状態にし、その上澄みが中性ホルマリン。但し、pH6.0程度である。
「リン酸緩衝ホルマリン(pH7.2)」の調製法
ホルマリン ・・・ 100ml<染色液>
容器にスターラーバーを入れ、スターラー台で溶液を撹拌しながら、試薬を順次溶解しながら調製する。ヘマトキシリン、エオシンとも室温で長期保存が可能である。エオシンについては下記の注意事項を必ず参照する。
「マイヤー・ヘマトキシリン液: Mayer's Hematoxylin」
500mlのポリプロピレン製ボトルに、以下の試薬を順次溶解する。
1)ヘマトキシリン(Hematoxyline)・・・・・ 0.5 g
2)蒸留水(DW)・・・・・・・・・・・・・500 ml
3)ヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)・・・・・・0.1 g
4)カリウム・ミョウバン(KAl(SO4)2・12H2O)・・・25 g
5)酢酸(または氷酢酸)・・・・・・・・・・2.5 ml
「エオシン液:Eosin solution」
以下の試薬を順次溶解。調製後のエオシン液は透明ではいが80%EtOHを加えると透明になる。
実際の染色にあたっては、下記の注意事項に従い濃度を調整する。
250mlのポリプロピレン製ボトルに、
1)エオシン Y(Eosin Y 水溶性)・・・2g
2)蒸留水(DW) ・・・・・・・200ml
3)酢酸(または氷酢酸)・・・・・0.2 ml 〔少なめ〕
注意事項:上記の条件で酢酸を入れると作成したエオシン液(原液)は濁る。不溶性になるがこれを原液とする。実際の染色に使う時には、良く均一撹拌懸濁後、80%エタノールで等倍希釈する。希釈すると透明になります。しかし、この2倍希釈液では染まりが良すぎて、切片が真っ赤になるので、更に40%エタノールで等倍希釈し、最終4倍希釈の40%エタノール染色液とする。
<エタノール:エチルアルコール:略号 EtOH>
試薬エタノール99.5%を用いる。100%エタノールは下記の方法で調製する。低濃度のエタノールは蒸留水や精製水で希釈して作成する。容器は密封キャップが付くポリプロピレン製を用いる。
組織標本作製では数多くの異なるエタノールが必要であり、小型の容器に濃度を明記して、事前に必要量を調製しておく。使用した系列溶液は再使用が可能なので、使用後は容器に戻し、適切な場所に保管する。
<キシレン>
試薬溶液のキシレンを用いる。キシレンは人体に有害である。換気装置が充分な場所で行なうが、責任ある者以外の使用はできない。保存にはガラス瓶でポリプロピレン製の密封キャップで栓ができる容器を用いる。通常のプラスチックでは溶解するので材質に注意が必要。
<パラフィン>
組織標本作製に用いるパラフィンは、専用の粒パラフィン(ヒストプレップ567/HISTPREP568:和光415-25791、mp56-58℃)を用いる。パラフィンは膨張率が大きいので脆弱なガラス容器にいれてはいけない。金属製や陶器を用いる。丈夫なマグカップなどでもよいが、加温することに配慮する。
<100%(Abs)エタノールの調製法>
無水エタノール、Abs EtOHは100%エタノールのこと。 エタノールの脱水に使用できるのは、粒子状の吸水剤:モレキュラレシーブ3Aタイプ(Molecular Sieves 3A 1/8、和光:133-08645)。アルコール1L中に70g程度を入れ、一晩放置すれば脱水が完了し使用できる(99.5%アルコールに本剤を7g/100mlの割合で入れる)。
水で飽和したら再生する(フライパンで加熱乾燥後、重量を計測しておく)。再生剤は新品と同等の吸水力を回復し,数十回以上の反復使用が可能である。99.5%エタノールにモレキュラレシーブズ入れるときには、紅茶かご(ステンレス製)やガーゼなどで包み糸で結わえいれると便利。
<封入剤>
封入剤は「ビオライト(Bioleit:応研商事940728)」などであるが、封入剤の粘度は事前に確認する。粘度が高い時にはキシレンを少量加え調整する。500g瓶など大容量の時は透明ガラス瓶に小分けし保存しながら用いる。密封保存する。
<目次と移動ボタンの対応>
<パラフィン切片HE染色標本の作製法>
A. 組織標本作製技法の概要と安全対策
B. 一覧表:組織標本作製工程
C. 主な試薬と備品、その調製法
D. 実技手順1(固定):前処理・固定/脱灰・整形(1st Stage)
E. 実技手順2(包埋):脱水・パラフィン浸透・包埋(2nd Stage)
F. 実技手順3(薄切):ミクロトーム操作、薄切・伸展/接着(3rd )
G. 実技手順4(染色):染色、脱水、封入(4th Stage)
H. 代用キシレン法
I. 主な関連解説と参考書一覧
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