★ ★ 2013年 「鍋田先生教員グループSPP」の原案と概要 ★ ★

<単位「細胞」に基づく動物体の成り立ち:その概念化>
・・生物系の最小必須課題:ロジカルシンキングトレーニングと細胞培養実験・・

下記は予定する実験講義の「原案/概要」です。ご意見をもとに改変も必要と思っています。
リンクの幾つかはブランクですが今後整えます。なお、文末「補足」をご参照ください【ココ
図一覧を参照する時は【ココ

実験講義の俯瞰図「Chart」へは「ココ」をクリック
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目 次(時系列14節:午前3時間/午後3時間)               所用時間 /頁
 <はじめに
1 【序 論】生物学・科学・今日の課題         ・・・30分/p__
2 <実技Cell-Exp.1:Step0, Step1(工程解説、Gel塗抹)>  ・・ 20分/p__
3 【導 入】管状構造に基づく動物体の描き方(作図演習) ・・20分/p__
4 【演習1】2系6要素-器官系11区分とその配列      ・・ 30分/p__
5 <実技Cell-Exp.1:Step2, Step3-1(MC処理と細胞播種)>  ・・20分/p__
6 【考察1】ゼラチンって何?:実験材料と細胞実験の意味・・・ 30分/p__
7 【演習2】マクロ組織のデジタル観察:管状構造」の線は何?・ 30分/p__
  ・・・お昼休み:1時間・・・・・
8 <実技Cell-Exp.1:Step3-2, Step3-3(状況確認とCa-Med)> ・・20分/p__
9 【考察2】 足場依存性と細胞運動(関連クイズ2項目)・・・ 30分/p__
10 <実技Cell-Exp.1:Step3-4、Step4(接着強度と固定染色)> ・・20分/p__
11【考察3】 細胞シートの意味意義(関連クイズ2項目)・・・ 30分/p__
12【補足1】 細胞の基本構造(細胞構造の基本とは)  ・・・20分/p__
13【補足2】 細胞自身は何をしている:細胞内機能の区分・・・30分/p__
14【まとめ】 古典的ロジックの必要性:体の基本10項目 ・・・ 30分/p__
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下図 [Chart] の文字などをクリックすると当該のサイトへ移動する
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2
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<はじめに>

下記(1-14)は、実施計画者の視点から構成した実験講義の原案(目次14節の各概要:要旨、目的、実施項目、メモ、の4区分)である。要旨中のカギ括弧センテンス(の多く)は「実施項目」であり、その詳細は配布テキストを参照とする。なお、重要な用語は必要に応じて区分キーワード(KW)として付記した。また、実施内容に関連して発展展開が可能な項目がある場合は「発展項目」としてその事例を示した。表題に付した時間は所用時間、カッコ(p._)は配布テキスト(資料)の頁である。時間的制約などがある場合は抜粋や分割などにより改変実施とする(その詳細は別様サイトを参照「ココ」)。

*実技実験について:本実験講義では「Exp1.お絵描き実験」に加え「Exp-2.細胞の形態変化:ライブ観察」も見学実験(実演実験)として行う。お絵描き実験では複数の「デモ用実験シャーレ」も必ず準備調製し、実験進行に対応させ「実験原理」の考察などに使用する。 (細胞実験法の概要一覧は「ココ」から移動)

*講義構成のキーワード:体制、現実実体の枠組み、階層性、2系6要素、基本的性質、規則性、nature/science/cell、科学論文の構成、実験原理

(配布テキストのサイトへは「ココ」をクリックして移動:予定)
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(画像をクリック: 左 Fig0   中 Fig00   右 Fig000) 
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1【序論】生物学・科学・今日の課題         ・・・ 30分

本節の要旨:はじめに「受講の心構え」、「生物学と科学:シンプルな考え方」など「通読3項目」を概説する。実施予定の本論(実験講義:次節以降)については「基本命題3項目」を提案しその概要を説明する。つまり本実験講義の目的には「生物系のロジック(論理性)を経験してみる」があることを提案する。更に、次節開始の実技実験「お絵描き実験」のイメージ化を図るため「序文と4コマアニメーション」や「仮説演繹的な視点」を提供する。リマインド:本編講義のキャッチフレーズは「なに・なぜ・どうして・どのようにして:それ本当?」である。

目的:諸注意、実験講義の枠組み、実技実験のイメージ化、
実施項目:□1. 受講の心構え、□2.生物学と科学、□3.基本命題3項:1)細胞をシャーレに入れたらどうなるか、2)ネコの前にサカナを置いたらどうなるか、3)細胞自身は何している?、□4.OEKAKI序文とアニメーション工程、□5.仮説演繹的研究法
メモ:パスと肉体労働、命題とは重要な「考え方や課題、それ本当?」、
 疑問にはメモを与えよう。

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig1   中 Fig2   右 Fig3 )


2 <実技Cell-Exp.1:Step0, Step1(工程解説とGel塗抹)> ・・・ 20分

本節の要旨:前節でイメージ化した「お絵描き実験」を開始する。ウェブ資料「Exp1.お絵描き実験:カード型マニュアル」を参照し、工程解説(Step0:WebサイトのA系列、Step1:サイトのB系列)を行う。実技操作はデモンストレーション見学の後に2名1セットで進める。なお、実験材料(Gel/Alb)の詳細解説は「6節」で行う。また、Step1ゼラチン塗抹後の乾燥処理、つまり「塗抹シャーレを20分以上放置」は次節以降と同時進行である。リマインド:実験学習の枠組みは「細胞培養、形態形成に関する基礎実験、通称.お絵描き実験」である。
 
目的:実験工程の説明、実技Step1(ゼラチン塗抹)、
実施項目:□1.工程確認(カード型マニュアル)、□2.物品用語の確認、
  □3.デモと実技実践
メモ:材料の事前準備、実技スペースの確保。下絵図案化は簡略に。

(本節「実技マニュアル」へ移動する時は「ココ」をクリックする)
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  (画像をクリック: 左 Fig4   中 Fig5   右 Fig6 )


3【導入】管状構造に基づく動物体の描き方(作図演習) ・・・ 20分 

本節の要旨:本講義は、単位「細胞」に基づく動物体の成り立ち、に枠組みを置くが、その導入にはマクロな視点「動物体の基本構造」も必要である。そこでローマーやヘッケルの「脊椎動物の収束した原型」を参考に、動物体を「概念図:管状構造」としてイメージ化を図る。つまり、ウェブ資料「サイト:描き見て考える-A3」を参照し、「管状構造に基づく動物体の描き方」を連続スライドとして紹介し協議を進める。なお本節は「4.器官系区分とその配列」や「7.マクロ組織のデジタル観察」の前提でもある。リマインド:器官・器官系の用語は状況に合わせ丁寧に扱う。

目的:作図作業による「体内構造:器官・器官系」のイメージ化。
実施項目:□1.脊椎動物の原型、□2.管状構造に基づく動物体の描き方(書き込み作業と協議)、□3.疑問のメモ書き
メモ:自分の体を触りながら/中身を意識しながら考えてみよう。

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(画像をクリック: 左 Fig7  中 Fig8  右 Fig9 )


4【演習1】 2系6要素-器官系11区分とその順列(配列)・・・ 30分

本節の要旨:動物体の理解には「階層性:階層構造による概念化」が必要であり、その大枠「器官系の学習」は必須であるが、その意味意義を考察する機会は意外に少ない。そこで体制を概念化するロジック「2系6要素」を念頭に「どのようにすれば器官系の理解が深まるか:なぜ器官系の理解は必要か」を考察する。つまり「アンケート式演習講義1」を行う。体制の理解には「多様性」が付随し時に混乱するが、それでも「考える筋道はある」、つまり「学理体系として統合的な視座(共通性)もある」を実感する(を目的とする)。なお本節の「器官系11区分とその配列」は第12節で実施予定の「細胞内機能の区分」の前提でもある。
リマインド:多様な視点もあるが、枠組み「ネコの前にサカナを置いたらどうなるか」で考える。

目的:器官系配列の協議を行い「2系6要素」を導き出す。基本的視座の構築。
実施項目:□1.アンケート式演習講義1(ワークシートを参照)、□2. 2系6要素-器官系11区分の解説、
メモ:疑問を箇条書きにし後日協議/確認する。「細胞機能区分」の前提学習 。

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig10   中 Fig11   右 Fig12 )


5 <実技Cell-Exp.1:Step2, Step3-1(MC処理と細胞播種)>   ・・・ 20分

本節の要旨:「ゼラチン塗抹シャーレ」を目視観察の後、工程(Webサイト:カード型マニュアル)を参照し、実技操作Step2(MC処理), Step3-1(細胞播種)を行う。また、見学実験(実技は教務担当者が行い受講者は観察のみ)とするExp.2「細胞形態の変化:ライブ観察」も平行して開始する。なお、本工程の終了後は「静置培養(培養1)」つまり「待ち時間」であるが、次節以降と同時進行とする。 リマインド:「細胞の単離分散処理」は丁寧なデモで解説する。Exp2(実演実験)も開始する。

目的:実技Cell-Exp1の継続(Step2, Step3-1:MC処理と細胞播種)、
実施項目:□1.工程確認(カード型マニュアル)、□2.デモと実践(Step2, Step3-1)、□3.見学実験Exp-2の開始。
メモ:細胞の単離分散処理では「10μm程度の小さな細胞がなぜ袋の中では可視的なのか」にも視点を当てる。 MCはBSAの代替として用いる。静置培養の場所を確認する。

(本節「実技マニュアル」へ移動する時は「ココ」をクリックする)
但し、細胞のライブ観察実験法は「ココ
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(画像をクリック: 左 Fig13   中 Fig14   右 Fig15 )


6【考察1】ゼラチンって何?:実験材料と細胞実験の意味     ・・・ 30分

本節の要旨進行中の「培養1:待ち時間」に合わせ「実験材料の解説:生体由来物質」を実施する。また「培養細胞と細胞培養」の意味意義についても触れる。本節はすなわち「ゼラチンとは何・培養細胞って何?」である。必要に応じて「骨きり実験」などのデモンストレーションも行いその理解を深める。終了後、細胞培養実験の特徴「培養時間」の意味を確認するため、前節開始の「細胞のライブ観察:Exp2」によりその細胞像と形態変化も紹介する。時間的に余裕がある場合は「耳ネズミVTR:再生医学」も紹介する。リマインド:細胞培養実験は少なからず生体の組織細胞の様態を再現する。

目的:実験材料の理解。培養細胞と細胞培養の意味、(動物細胞と細菌細胞、再生医学)
実施項目:□1.グミの試食、□2.ゼラチンや培養細胞って何?、□3.骨きり実験、□4.材料解説(表)、□5.培養細胞と細胞培養、(必要に応じて:□6.加熱実験、□6.体成分の区分、□7.耳ネズミVTR)
メモ:細胞間物質は細胞が生産し細胞と細胞の隙間を埋める物質。
KW:コラーゲン、アルブミン、細胞間物質、細胞培養、培養細胞、

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig16  中 Fig17  右 Fig18 )

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(画像をクリック: 左 Fig19   中 Fig20   右 Fig21 )


7【演習2】マクロ組織のデジタル観察:「管状構造」の線は何? ・・ 30分

本節の要旨前節では生体由来物質にも触れたが、本節では受講者の視点を「細胞培養実験」から「動物体マクロ組織」に転じ、実像としての「体内構造」から考察する。つまり「マクロ組織像の顕微鏡観察」である。その主目的は上記「3.管状構造:作図」で描いた「線」の意味を問うである。「現実実体の枠組み:配置表」から解説を行う。線という「状況」、その「実体」は上皮組織、ではその「本質」は何?、である。最終的に体腔管腔の壁面が「細胞と細胞層:上皮組織/細胞シート」であることを確認する。(グループ協議を行う)。方法は、Webサイト「マクロ組織のデジタル顕微鏡観察」を用い、投影スクリーン上の組織像に対する協議解説で進める。リマインド:体内の隙間は「体腔管腔」であり、標本では「人為的な断裂」も散見される。体表面や体腔管腔その壁面は細胞シートである。つまり上皮組織(上皮・中皮・内皮)である。

目的:「現実実体の枠組み」から概念図「管状構造」の描画「線」の意味を問う。マクロ組織像の観察:体腔管腔の壁面とは何か(上皮組織/細胞の確認)。
実施項目:□1.概念図「管状構造」の再確認、□2.「現実実体の枠組み:2系6要素」、□3.デジタル組織の観察(MTZ-2の協議)、□4.上皮組織の解説、(必要に応じて、□5.上皮組織3様態、□6.上皮組織3区分)
メモ:PCやiPadを使用したグループ演習として実施するも可。
発展展開:Webサイト「マクロ組織の話し合い」など ・・[ココ]
KW:組織染色標本、上皮組織、上皮細胞、細胞シート、

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(画像をクリック: 左 Fig22   中 Fig23   右 Fig24 )


・・・お昼休み:1時間・・・・・

休憩時間中に培養中のシャーレ底面を覗いてみる:状況確認。デモ用シャーレは液替えを行う(培養時間を確認)。

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8 <実技Cell-Exp.1:Step3-2, Step3-3(状況観察とCa-Med)>  ・・・ 20分

本節の要旨実験工程を進める。つまり十分な培養時間(約_分)とした「培養1」を終了させ、Step3-2「途中状況(底面状態)の確認」, Step3-3「培養液の交換/培養2の開始」を行う。はじめに、培養シャーレ底面を方法に従い肉眼で確認する。培養液交換の後は改めてスクリーン投影顕微鏡像とし「形」を成す細胞像を確認する。但し、その詳細解説や実験原理は次節9で「考察2」として行う。リマインド:「実験には失敗はない」を念頭とする。「君は何を確かめたい?」である。

目的:工程Step3-2, Step3-3の実施。「形」の状況を確認する。
実施項目:□1.工程確認(カード型マニュアル)、□2.目視観察と顕微鏡像の協議、□3.デモと実技実践、
メモ:回収細胞と接着細胞は何が違う?、培養1をそのまま継続しても良い(詳細はマニュアルを)

(本節「実技マニュアル」へ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig25   中 Fig26  右 Fig27 )

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(画像をクリック: 左 Fig28   中 Fig29   右 Fig30 )
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9【考察2】足場依存性と細胞運動(関連クイズ2項目)・・・ 30分

本節の要旨前節8「底面状態の確認」を受け、また実験工程の進行状況から実験原理の解説を行う。つまり、細胞生物学の視点「足場依存性と細胞運動」である。その前提として、はじめに「細胞の経時的形態変化」をスクリーン投影顕微鏡像として提示し、用語「基質、接着・伸展・移動・配列」を確認する(必要に応じてインテグリンと細胞骨格の解説も行う)。
 更に、次の質問2項目(クイズ形式)によりその理解を深める。質問1「1粒2粒3粒の細胞、培養したらどうなるか」、質問2「塗抹液を変えたら形はどうなるか」。それらに基づき「お絵描き実験の原理」を概説し「足場依存性、細胞接着、細胞運動」の理解を求める。必要に応じて「対照実験の必要性」を行う(宿題とする)。なお、話し合いの視点は、実験観察に対する表現法「Nature / Science / Cell」である(分かりやすく説明する)。本節の続き「細胞シートの形成」については下記の11節で取り扱う。リマインド:実験とは「何かを確かめる」であり、そのためには対照実験も必要である。

目的:「足場依存性と細胞運動」の理解、観察表現法、
実施項目:□1.細胞運動(形態変化像と用語解説)、(□2.必要に応じ、インテグリンと細胞骨格)、□3.質問1「1粒2粒3粒」、□4.質問2「塗抹液を変えたら」、□5.実験原理(足場依存性、基質、接着、運動、配列)、(必要に応じて、□6.宿題「対照実験の必要性」)
メモ:Nature/Science/Cellの意味意義、基質 matrixとは「何かを生み出すところ」

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig31   中 Fig32   右 Fig33 )


10 <実技Cell-Exp.1:Step3-4、Step4(接着強度と固定染色)> ・・・ 20分

本節の要旨:前節で解説した「接着」の様態を「接着強度の確認」として実感する。方法は「Step3-4タッピング操作」であるが、デモ用のシャーレで実施する。Step4「固定染色」の操作は安全に配慮して行う(時間の関係からTAにより実施も可能)。但し、顕微鏡観察はデモ用のシャーレで未染色状態で行う(隙間の有無を確認する)。リマインド:接着強度はデモ用のシャーレで実施し、受講者のシャーレでは「ほどほど」とする。

目的: 細胞接着の強度を実感すると同時にその仕組を解説する。
実施項目:□1.工程確認(カード型マニュアル)、□2.デモ:接着強度の確認、□3.工程(固定染色)の実践(状況に応じて講義終了後でも良い)。(□4.カルシウムの意味意義)、
メモ:染色標本の観察は、後日(所属学校で)改めて行う。

(本節「実技マニュアル」へ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig34   中 Fig35   右 Fig36 )


11【考察3】細胞シートの意味意義(関連クイズ2項目)・・・ 30分

本節の要旨:本節は「まとめ」であり、動物体における単位「細胞」の必然性(合目的性)を考察する。前々節「9.考察2」に引き続き、はじめにその導入として質問(クイズ形式)を行う。質問3「高密度で細胞を入れたらどうなるか」。正解は「単層細胞シートの形成」であるが、この問いは実施実験「お絵描き実験」と同義であることから、正解提示の前に培養シャーレの「形:顕微鏡像」を再確認し、その様態の解説を求める。なお、本質問はその必然性、つまり「なぜ細胞はシート構造を作るのか」という疑問(合目的性)に繋がる。
 解説は7節の結論「体腔管腔の壁面は細胞シート(上皮組織)である」の再確認であるが、「単位に基づく点・面・立体の連続性」の観点を与える。単位に基づく動物体の成り立ち:体は細胞と細胞間物質でできている。これを「まとめ」として再確認する。このため、必要に応じて個体発生の図(3胚葉の横断面)なども参照する。
 ところで、実施した「お絵描き実験」の結果(実像)は、培養時間の関係からその多くは「緻密な細胞配列」には至らない。そこで、新たな質問の設定が可能となる。つまり、質問4「隙間ができたらどうなるか」である。これについては9節の「基質、接着・伸展・移動・配列」に付帯する「分裂増殖と接触阻害」の観点から説明を与える。補足:質問3に関連し、接触阻害が弱い細胞が「ガン細胞」の例であることも提案する。また、質問5「どうすれば分化するか」も可能である。リマインド:細胞は細胞シートを形成するが、接触阻害を発現するため単層を基本とする。

目的:本実験講義のまとめ:単位「細胞」の意味と意義、
実施項目:□1.質問3「高密度で細胞を入れたらどうなるか」、□2.実験シャーレ細胞像の再確認、□3.細胞シートの必然性(点・面・立体、形態形成)、□4.質問4「隙間ができたらどうなるか」、□5.解説「分裂増殖と接触阻害」、□6.補足質問「どうすれば分化する?」
メモ:観察像をそのまま表現することの必要性とその合目的性に配慮する。

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig37   中 Fig38   右 Fig39 ) 

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(画像をクリック: 左 Fig40   中 Fig41   右 Fig42 )
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12【補足1】 細胞の基本構造(細胞構造の基本 )  ・・・ 20分

本節の要旨:実験講義を通じ俯瞰した「細胞の基本的性質」をより発展的に扱うには「細胞構造の理解」が不可欠である。その基本は「膜系シート構造」であり、他の構造体が付加し「細胞内小器官」として配置され理解される。つまり、体内においては多様な形態を示す細胞であっても一様な「模式図」として一般化される。細胞構造の「原型あるいは典型」である。しかし、多様な形態を示す体細胞と模式図「基本構造」との繋がりを実感することは容易ではない。そこで本節では細胞構造をイメージ化するため「演習:細胞くんの描き方」として取り扱う。内分泌細胞、感覚細胞、神経細胞、更に筋細胞などを理解する前提として提案するを目的とする。なお、本節は下記「13.細胞内機能の区分」の前段でもある 。リマインド:恣意的であるがイメージ化の前段として扱うを念頭とする。

目的: 細胞構造やその多様性を概念化する視点(形態と機能)としてイメージ化を図る。
実施項目:□1.Webサイト「細胞くんの描き方」とその解説
メモ:作業「描く」の過程では「器官系11区分とその順列」を意識する。細胞くんはなぜ必要かの説明が必要。
発展展開:膜系構造体の描き方、細胞の多様な形(Webサイトを参照:ココ
KW:膜系構造体、細胞内小器官、

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig43   中 Fig44   右 Fig45 ) 

↓下記(Fig46-48)は発展項目↓ 

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(画像をクリック: 左 Fig46   中 Fig47   右 Fig48) 
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13【補足2】細胞自身は何をしている:細胞内機能の区分     ・・・ 30分

本節の要旨:前節(細胞構造の基本)を受け、また、第4節のロジック「2系6要素11器官系区分」を意識し、細胞自体が示す「基本的な生理機能」について考察する。機能は構造との対応関係であり、よって、その箇条書きに無理はないが、その繋がりを意識し「細胞生理の基本」として補完することは少ない(そう簡単ではない?)。つまり本節では「細胞自身は何をしている」という共有命題について協議する。繰り返しとなるが、基本的な視点「構造:要素の空間的な位置関係と繋がり」は結果的に役割を示す。よって、その理解は要素とその役割をどのように配置するかである。つまり、自然な考え方(表現)が最も好ましいく、結果的にロジックとして共有されることを確認する。つまり、器官系区分と2系6要素のような配置は可能なのかを考察する。リマインド:細胞自体の生理機能は「細胞が生きる姿:細胞の成り立ち」であり、その基本を要約する方法を導き出す。つまり「細胞が生きるには何が必要か」である。

目的:細胞内機能を「2系6要素」の観点からを導き出し、その区分の要素を理解する。
実施項目:現実実体の枠組みの再確認、□1.アンケート式演習講義2(ワークシートを参照)。
メモ:擬人的な解説や表現は丁寧に補完する。細胞の分子生物学の3部は「細胞の内部構造 internal organization of the cell」であり筆者らは何を意識しているかを考える。
発展展開:遺伝の基本とは?(Webサイトを参照:ココ)、
KW:細胞内小器官、2系6要素11器官系の配列、細胞の分子生物学

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig49   中 Fig50   右 Fig51) 
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14【まとめ】古典的ロジックの必要性:体の基本10項目      ・・・ 20分

本節の要旨:「構造と機能」「多様性と共通性」は生物学の主要なキーワードであり、動物体の概念化には更に「階層性(構造)」が加わる。しかし、「動物体の成り立ち」を一義的な理解としてイメージ化することは意外に容易ではない。そこで本実験講義では、細胞が示す基本的な形態変化(基本的性質)に視点を置き、関連する事象を考察するという方法を用いた。つまり上記各節は「動物体の成り立ち」に対するイメージ化であり、階層構造の連続性を「概念図や配置図」から導き出すことを目的とした。その前提として幾つかの「共有命題」を設定した。つまり、古典的なロジックである。本節では、以上の経緯から「動物体に関わる基本項目」、学習者にあっては「最小必須課題」として「動物体の見方10項目」を提案する(Webサイトを参照)。「俯瞰図」を用いてその概要の一部を解説する。余裕のある時「ウェブサイト」でその詳細を参照する、である。リマインド:「構造と機能」の補完は「多様性と共通性」であるが、その前提は「現実実体の枠組み」である。

目的: 個体生物学の基本的な構成を俯瞰図10項目(ウェブサイト)として提案する。
実施項目:□1.ウェブサイトの説明と体の基本10項目の概要説明。
メモ:Web実演生物学のサイト「移動法」を丁寧に説明する。
発展展開:体の基本10項目を必要に応じ参照する(Webサイトは[ココ] )、
KW:構造と機能、多様性と共通性、階層構造、現実実体の枠組み:2系6要素、 体の基本10項目、最小必須課題(MET)、

(本節の実践サイトへ移動する時は「ココ」をクリックする)
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(画像をクリック: 左 Fig52   中 Fig53   右 Fig54) 
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構造と機能(structure & function)、形態、原型/典型、機構(オーガニゼーション:構造)、構成、要素、


<補足> 

1)上記をそのままPDF文書として利用(参照)する時は「ココ」をクリックしてください。 図は付記していませんが印刷用です。

2)「器官系区分」や「階層性」が必要かどうかは多面的ですが、生物学が「好き得意」な若い方がなぜ器官系の名称を記憶していないのか、は時々気になってます。それでその経緯をまとめたのをPDF文書としています。同様に「ココ」をクリックしてご参照ください。

3)本編は「原案」なのでかなり意味不明なところもあるかと思いますが、ご意見などをお願いします。掲載した図は実践当日の講義で用いる主要な概念図などです。原案を具体的なイメージとするためは更に調整が必要と思もっていますが、意味不明な場合にはお知らせください。
 これまで、野村先生(神奈川)や菅野先生(未来館/埼玉)、また山藤先生(東京)との協議から実施した講義内容はトップページの「実験講義1」でしたが、今回は鍋田先生教員グループのリクエストに応えるため、それらを土台に改変しています。白石先生が対応の「マクロ組織」を加えることにより、また「現実実体の枠組み」を背景としたことから、鍋田先生らのご意向に近づけたようにも思っています。なお、本稿を基盤として本年実施の研修(全国大会研修など)や銀島研究班の研鑽において更に校正加えたいと思っています。よろしくご指導をお願いします。
 なお、実践的な実験学習の方法論はその時々の状況に対応するものと思っていますが、考え方は限られると思っています。下記をご参照ください。

2 2 2
(画像をクリック: 左 Fig55   中 Fig56   右 Fig57) 

 生物学では「つくりとはたらき」つまり「構造と機能」と「多様性と共通性」が主要なキーワードですが、動物体については「器官・組織・細胞・細胞内小器官・分子」といった用語区分があるので、あえて「階層性」という用語は不要かもしれませんが、やはり「階層構造/階層性」という用語(キーワード)は学習の場に適していると思っています。上記2つのキーワードは重要ですが、実体のある生物(動物体)には「形・形状・形態」があり、形態とは「機能を示す形」なので、形態を学ぶことは機能も考えての話であり、その模式図は「空間的な位置関係や繋がり」が有るはずです。よって概念図としていますが、形態を優先すると詳細になり話が長くなるので一般には「構造と機能」なのでしょう。2項対立ではなく2項並列であり、都合に合わせてどちらかを優先すると言う仕組だと思います。そこで、構成が難しくなるので手前勝手ですが原型としての「イメージ化」を優先しています。
 今回の仕組では下記の「現実実体の枠組み」を設定しています。つまり、その場その時の学習対象はいづれにしても限定的であり、共有する命題(課題)に基づき「話合い」が進行するなら、その視座は下記の「視点2系6要素」を背景とするしかない、という考え方です。基本単位を意識し、加えて「階層構造」の枠組みから構成すると結構分かりやすいような気がしてますが、如何でしょう。

 <現実/実体の枠組み:配置図(視点2系6要素)>

  A1. 現象/状況 ・・・・ A2. 実体/実在 ・・・・ A3. 本質/原型
     ↑           ↑            ↑    
     ↓           ↓            ↓
  B1. 役割/働き ・・・・  B2. 機能/仕組 ・・・・ B3. 性質/物性

<実験学習の方法論:お絵描き実験について>
1)帰納的科学論に基づく教材実験(お絵描き実験)
 学習進度(学習レベル)を前提とした展開:つまり「体は細胞シート(構造)により成り立っている」あるいは、「体の表面は上皮組織である」、更に「事前のSPPでは発生において細胞シートを確認した」という形態学(組織学)的な複数の大前提を命題とする。よって、発生過程でも形態組織学的にも「体は細胞シートからできている」ので、今回は培養細胞を用いて実験的に「細胞シート」を作ってみよう(作れるはずだ)。必要に応じて、得られる実験結果について考察してみよう、という経緯となる。

2)仮説演繹的な科学論に基づく教材実験(お絵描き実験)
 「基本命題」に基づく展開:つまり、お絵描き実験の基本命題は、「体の単位は細胞であり、体は細胞と細胞間物質でできている」である。であるなら、それらを丁寧に使えば「形」ができるはず、という経緯(仮説演繹法)から実験を行う。どうして可能かについては試行錯誤や実験観察に基づき段階を追って考察してみよう、という形式。ちなみに「実験とは何かを確かめること、君は何を確かめたい」というのも前提として置きます。
 その結果、細胞の基本的性質「足場依存性と細胞シートの形成」が実験的に確認される(受講者は「実感」する)。同時に種々の主体的・能動的な疑問が生じる。それに基づき生体構造や生命現象を、今後の学習課題として、適時、考察(学習)するという方法論。例えば、発生学学習の時には、形態形成の過程でも「細胞シート」が重要である、など。

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(画像をクリック: 左 Fig58   中 Fig59   右 Fig60) 
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**本編は以上で終わりです**


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